DCF法による企業価値計算 - 非上場企業のWACCの計算

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非上場企業のWACCの計算

  • 投稿者: K
  • 2010/12/23 9:15 PM

WACCの計算式は上場企業でも非上場企業でも同じです。非上場企業には株式の時価が無いため、

◆「株主資本時価」

◆株主資本コストの計算に必要な「株式のベータ値」

がありません。

そのため、これらを推定する必要があります。

推定方法はいろいろありますが、一般的には次の方法を用います。

◆株主資本時価:類似業種の有利子負債と株主資本時価の平均比率を使用する。

◆株式のベータ値:類似業種の平均アンレバード・ベータ値から推定する。

以下では、非上場企業のWACCの計算方法を、ステップ1~ステップ4の四段階に分けて解説していきます。

<ステップ1.有利子負債額と株主資本時価の比率の推定>

WACCの計算に必要なのは株主資本時価の金額ではなく、負債資本コストと株主資本コストを加重平均するための、有利子負債額と株主資本時価の比率です。

よって、株式を上場している類似企業の有利子負債額と株主資本時価の平均比率を求め、その比率をWACCの計算に使用します。

具体的には、以下のようなフローとなります

【1】上場している類似企業を数社選択します。

【2】各社の有利子負債と株主資本時価を求めます。有利子負債額、株式時価総額はヤフーファイナンス(http://stocks.finance.yahoo.co.jp/)で入手できます。

【3】有利子負先額と株主資本時価の平均比率を計算します。

例)

有利子負債額 株主資本時価
A社 30 100
B社 10 90
C社 70 140
110 330

平均比率=110:330=1:3

<ステップ2 株式ベータ値の推定>

株式のベータ値を、類似企業の平均アンレバード・ベータから推定する方法を紹介します。

「アンレバード・ベータ(Unlevered β)」とは、「資本構成が100%株主資本と仮定した場合のベータ値」のことです。

※一般的な資本構成

資産 負債
純資産(株主資本)

※アンレバード・ベータの前提となる資本構成→貸方が100%株主資本

資産 純資産(株主資本)

ベータ値とは、「個別の株式が株主市場全体の動きにどれくらい連動するか」をあらわすものであり、以下の二つの要因によって決まります。

①対象となる企業の行う事業が、株式市場全体に比べて変動幅がどれくらい大きい/小さいか。

②対象となる企業の資本構成が、株式市場全体のそれ(=株式市場に上場しているすべての企業の資本構成の平均)と比べてどのようになっているか。

上記の①の要因を「事業リスク」、②の要因は「財務リスク」と言います。

事業リスクは、例えば

「インフラのように、安定した事業を行う企業であれば小さくなる」

など、個別の企業によらず、業種ごとに決まります。

このように、事業リスクは、個々の企業によらず、業種が同じであればほぼ同じになると考えることができます。

一方、財務リスクは個々の企業の資本構成によりますから、それぞれの企業の資本構成によって異なります。

そこで、

【1】事業リスクだけを加味した場合のベータ値を、類似業種の上場企業から求め、

【2】それに当該企業の財務リスクを付加する

ことで、非上場企業のベータ値を推定することができます

この、「事業リスクだけを加味した場合のベータ値」を、アンレバード・ベータといいます。また、「事業リスクに加え財務リスクも加味した、通常のベータ値」をレバード・ベータといいます。

具体的には、以下のように計算します。

【1】自社の類似業種の上場企業のベータ値(レバード・ベータ)を求めます。

【2】各社のレバード・ベータ値をアンレバード・ベータ値に変換します。変換式は以下の通りです。

アンレバード・ベータ=レバード・ベータ

/(1+(1-実効税率)×有利子負債額/株主資本時価)

【3】各社のアンレバード・ベータの平均値を求めます。

【4】求めたアンレバード・ベータの平均値に、当該企業の財務リスクを付加します。

財務リスクは、当該企業の資本構成、つまり有利子負債と株主資本の比率のことです。

具体的には、下記の変換式(【2】の変換式を変形したもの)に、当該企業の有利子負債額と株主資本時価の比率を入力して計算します。

レバード・ベータ=アンレバード・ベータ値

×((1-実効税率)×有利子負債額+株主資本時価)/株主資本時価

例)

有利子負債額 株主資本時価 レバード・ベータ
A社 30 100 1.8
B社 10 90 1.5
C社 70 140 2.1
110 330

実効税率は40%とする。

有利子負債と株主資本時価の平均比率=110:330=1:3

A社のアンレバード・ベータ=1.8/(1+(1-40%)×(1/3))=1.5

B社のアンレバード・ベータ=1.4

C社のアンレバード・ベータ=1.6

類似企業の平均アンレバード・ベータ=(1.5+1.4+1.6)/3=1.5

非上場企業のレバード・ベータ=1.5×((1-40%)×1+3)/3=1.8

<ステップ3 株主資本コストの計算>

計算方法は上場企業と同じで、以下の式で計算します。

株主資本コスト=リスクフリーレート

+株式のベータ値×(株式市場全体の期待収益率-リスクフリーレート)

例)

リスクフリーレート:1.2%(10年物国債の利回り)

株式のベータ値:1.8

株式市場全体の期待収益率:4.0%

株主資本コスト=1.2%+1.8×(4.0%-1.2%)=6.2%

<ステップ4 WACCの計算>

計算方法は上場企業のケースと同じで、以下の式で計算します。

WACC=有利子負債額/(有利子負債額+株主資本時価)×負債資本コスト×(1-実効税率)

+株主資本時価/(有利子負債額+株主資本時価)×株主資本コスト

例)

有利子負債額:株主資本時価=1:3(類似企業の平均比率)

負債資本コスト:5%

株主資本コスト:6.2%

実効税率:40%

の場合、

WACC=1/(1+3)×5%×(1-40%)+3/(1+3)×6.2%=5.4%


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